内容紹介(「BOOK」データベースより
抽象的でむずかしいと言われる行政法のあらましを、豊富な具体例を用いながら、やさしい語り口で講義する。行政不服審査法の大改正に対応した、名著『行政法入門』の最新版。
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行政法を、優しく一周。
2020年10月5日
行政法の定番の教科書といえば、中原『基本行政法』や、櫻井・橋本『行政法』などではないでしょうか。しかし、前者は個別法がガンガン出てくるスパルタ式ケースメソッド、後者はまとまりがいい代わりに行間が広い。いずれにしても、初学者向きではありません。私は、初学時点で『基本行政法』に挑み、儚くも散りました。
そんな私にとっての救世主が、本書です。
本書の執筆者である藤田宙靖氏は、元最高裁判所裁判官。君が代ピアノ伴奏拒否事件の反対意見等で、印象に残っている方もいるのではないでしょうか。
そんな超すごいおじいちゃん(2020年10月現在、80歳!)が書かれた本書、さぞかし内容も高度なのだろうと思いきや、そんなことはありません。記述から感じるのは、藤田おじいちゃんの「優しさ」。さながら、孫に語りかけるかのようです。
例えば代執行について、「義務者(私人)がその義務を自発的に履行しないのならば、行政庁が代わってその行為をやってしまって(または第三者にこれをやらせてしまって)、そのかわり、そのためにかかった費用を、後で義務者から取り立てようと言う制度」(本書174頁)と説明します。その後に続く具体例も、「行政法………?そんなの六法にないぜ……???」状態であった私にでさえ理解できました。
本書の理解を前提に『基本行政法』にトライしたところ、読み進めることができるようになりました。行政法の呪縛から、私を解き放ってくれた一冊です。
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