内容紹介(「BOOK」データベースより
基礎から学ぶ、「憲法」という歴史。読みやすい叙述・通読しやすい分量で、憲法を学ぶ上での重要事項を一通り網羅。学習のコアとなる一冊。近年の重要判例や、憲法をとりまく情勢の変化もふまえた最新第3版。
みんなの書評・口コミ
全体的にみて
①この本は憲法判例の射程などにも引用されているため、副として使う教材との相性と良い。
②また、なんといっても強みは本の薄さではないかと思う。人権部分も読みやすく、その上で、論文で参考にできる表現、考え方も記載されている。しかしその薄さ故に統治部分に関してはやや簡易的であり、特に財政民主主義辺りは他で補う必要があると感じた(基本短答プロパーであり短答を解いて補うのでも十分だと思うが)。
③若干ではあるが、ヘイトスピーチなどの最新議論も記載されている。
④伊藤塾呉明植クラスでは本書を基本書として指定しており、呉基礎本と併用して用いると理解がしやすいのではないかと思う。
以上が感想です。
コンパクトな一冊
憲法のエッセンスが一冊にまとまった良書だと思います。これ一冊だけでは司法試験を受けるには若干心許ないので、四人組などで補完する必要があるかもしれません。
共著ですが、それによるデメリットは個人的に感じませんでした。若手の憲法学者としてはトップランナーの一人でもある宍戸先生の担当箇所は最新の学説も反映されており、知的好奇心がくすぐられました。
芦部や佐藤憲法のような伝統的な基本書も魅力的ですが、司法試験を意識するならこちらがベターかもしれません。
統治の部分は難しい…
憲法の全体についてコンパクトにまとまった一冊である。これのみで司法試験に対応できるとは思わないが、外観を掴むのにはうってつけである。ただし、統治に関してはかなり難しい概念が出てくるので、その概念の背後にある基本的な考え方を別の入門書などで把握してから読むのが良い。
まとめの一冊
総論、基本的人権、統治の内容が400ページにコンパクトにまとまっています。
判例はもちろん、近時の憲法問題とそれに関する学説にも言及があり、著者らの問題意識も垣間見ることができ(宍戸先生執筆箇所のフェイクニュース規制の問題など)、興味深い記述がたくさんあります。
もっとも、海外の判例・学説状況などにも言及したうえでのこのコンパクトさゆえか、やや行間の広い部分もあり、初学者が読み進めるのは少し大変かもしれません。
判例は豊富に取り上げられていますが、事案の説明や判旨の引用がないものも多いので、本書の理解には百選などでの判例学習が別途必要であることにも注意してください。
ある程度学習が進んでから読んでみると、そのまとまりのよさや視点の鋭さなど、本書の特長が感じられるのではないかと思います。
おすすめの一冊です。