内容紹介(「BOOK」データベースより
日本国憲法とは何か。立憲主義の思想につねに立ち返りながら、それを丁寧に繙いていく。
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確かな論証。
2020年9月15日
本書については、多様な評価があるところと思います。芦部の副読本とされる一方、新しい議論も取り入れられていて副読本には向かない、とも言われます。また、分かりやすいので芦部後継としては一推し、との評価の一方、かなり高度との評価もされています。
筆者としては、本書の記述は分かりやすいと感じます。論理の運び方が美しく、論証のお手本としています。最判平成31年1月23日に関する156〜157頁の論証、パブリック・フォーラム論に関する252頁の論証については、特に感動しました。
ただし、本書は単著です。あくまでも「高橋説」の主張を目的として書かれた書籍ですので、採用される見解が必ずしも「通説」とは限りません。第2版はしがきによれば、「①私人間効力論の理解の仕方、②議員内閣制の運用に関する理解の仕方、③司法権の概念に関する理解の仕方」の三点が、通説的見解と異なるのだそうです。
記述を相対化するためには、憲法学界では未だ芦部説の影響が強いことを踏まえますと、芦部憲法を通読した上で本書に進むべきなのかもしれません。
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