憲法判例50! (START UP)の書評・口コミ

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レビュー
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  • 判例学習のファーストチョイス

    当方、法学初学者ですが、学習を進める中で最初にぶち当たった壁が『判例』の理解でした。判例百選など有名どころの判例集を勧められるがままに目を通して見ましたが、本文も解説も難解な文章がならび、「で、この裁判はどうなったの?」とまったくもって意味不明な状況でした。
    あるとき、司法試験合格者の方のブログを見てるときにこの書籍を知り、迷わずAmazonでポチり。目を通して感じた事は、とにかくわかりやすい!の一言でした。特に「この判例が示している事」は判例の趣旨や重要なポイントを簡潔にまとめてくれているので、まずはここを確認してから本文に目を通すと論理の流れが掴みやすく、判例の理解が飛躍的に進むようになりました。
    初学者の方はまずこの書籍を通読する事で、その後の判例学習の理解度が大きく変わる事と思います。

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  • 精選された判例をわかりやすく。

    憲法判例は、案外多いものです。百選ならば208個+α、判例プラクティスならば351個+α。ぜーんぶ覚えられれば良いんですが、筆者には無理です。
    しかも、百選の解説には(司法試験的な意味で)「当たり外れ」があります。特に、百選Ⅰ(第7版)の42番、津地鎮祭事件についての解説は、中々に難解です。ドイツの議論の研究が学術上重要なことは疑いの余地なし。でも、百選でやらないでくれ…と、出来の悪い筆者は思います。じゃあ判プラでいいじゃねえか、とも思うのですが、こっちは解説があまりに短い。
    また、「判例の射程」を学ぶには、当該判決の事案がいかなるものか知ることが重要であるところ、百選にせよ判プラにせよ事案が短いです。「判例の射程」も何もあったもんじゃありません。
    以上のように、判プラや百選の問題点は、以下の三点です。
    ①判例多すぎ
    ②解説使えなすぎ(外れてたり、短かったり)
    ③事案短すぎ
    この点、本書『憲法判例50!』は良書です。
    ①扱われている判例は、わずか50。+αを含めても、百選や判プラより少ないことは言うまでもありません。こんなに少なくっていいのかとも思いますが、「丁寧に読む判例の数」としては十分なようです。(下級審まで遡って判決を読むことを勧める文脈で、『50!』の半分くらいでいいとする赤坂幸一教授の発言につき、曽我部他編『憲法論点教室(第2版)』(2020年)日本評論社、242頁。)
    ②解説も、大変分かりやすいものです。争点を「読み解きポイント」として明示し、判決の重要部分を青字にし、しかも「この判決が示したこと」として判決をまとめてくれる親切っぷり。解説本文も、内在的理解に努めるものとなっています。
    ③事案にも、かなりの文字数が当てられています。特に本書39番事件の「郵便法違憲判決」については、恥ずかしながら、本書で初めて事案の詳細がわかりました。
    通読用の憲法判例集としては、かなりの良書であろうと思います。

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