AI要約:『合格思考 憲法』の評価と特徴
本書は、多くの受験生が苦戦する「憲法答案の書き方」に特化し、合格水準の答案を書き上げるための実践的な処理手順(アルゴリズム)を提示した、受験生目線の必携書です。
主な特徴とメリット
-
「答案の型」の徹底解説: 理想的な学問的水準と受験生の実力の乖離を埋めるべく、現場で「実際に書ける」答案の骨格を伝授してくれます。人権類型ごとに、条文、定義、保障根拠、保護範囲、そして審査基準の立て方まで、一連の流れが可視化されています。
-
アウトプット重視の構成: 旧司法試験や予備試験の問題を題材に、解説だけでなく「答案例」が掲載されています。理論を学んだ直後に実際の起案イメージを確認できるため、インプットとアウトプットの架け橋として極めて優秀です。
-
最新のトレンドと「判例の射程」への対応: 近年の補訂により、最新の試験傾向や有力な判例分析のエッセンスが反映されています。これにより、定番の判例分析本(『憲法判例の射程』等)との親和性も高く、併用による相乗効果が期待できます。
-
一元化の「母本」に最適: 記述がスッキリと整理されているため、基本書や判例集で得た深い知識を本書の余白に書き込んでいく「まとめノート」のベースとして活用するスタイルが推奨されています。
留意点
-
「一歩目」としての位置づけ: あくまで答案の作法や骨格を学ぶための本であり、学説の対立や判例の深い理論的背景を網羅しているわけではありません。本書で型を身につけた後は、必ず上位の演習書や判例精読へとステップアップする必要があります。
-
記述の相対化: 読みやすさを優先した断定的な記述(プライバシー権の解釈など)については、学説上の争いがある場合もあります。鵜呑みにせず、他の基本書(佐藤幸治『日本国憲法論』等)と見比べることで、より多角的な視点を持つことが可能です。

レビュー
5
憲法答案の型が身に付く
司法試験上位合格者が執筆した憲法答案の型が身に付く一冊。憲法の事例問題を解き始める前に、まずは本書で憲法答案の書き方を習得すると良いでしょう。本書には、旧司法試験の問題も掲載されているので、アウトプットも可能です。さらに、答案例付き。受験生の味方。
続きを読む 閉じる
分かりやすい。使える。でも…
「書き方がわからん!!」となりがちな憲法にあって、本書は大変貴重です。
人権各論の部分では、各権利類型ごとに条文・定義・保障根拠・保護範囲を明記した上で、関連する判例を紹介。旧司法試験や予備試験などによって、問題演習までさせてくれます。答案の書き方が見えてくる良書であることに疑いはありません。しかも、合格者による補訂がなされたばっかり!最新の傾向も反映されていましょう。
一方、記述には注釈が必要な部分もあるかと思われます。
例えば、「判例上の『私生活上の自由』に自己情報コントロール権は含まれない。あくまでも、“〜されない自由”としての保障にとどまる。自己情報コントロール権として論証する場合は、判例との差があることについて積極的な理由づけが必要となる。」(27頁)とされていますが、「判例との差」とまで言い切れるかは疑問です。「誤り」などでは無いかと思いますが、他の文献と見比べることで視野が広がるのは間違いありません。
(判例上自己情報コントロール権が事実上認められているとする見解につき、佐藤幸治『日本国憲法論(第2版)』(2020年)成文堂、205頁。自己情報コントロール権としてプライバシー権を再構成することが判例に整合的であるとする見解につき、新井誠他『憲法Ⅱ 人権』(2016年)日本評論社、51頁。外国人指紋押捺事件・住基ネット事件の両判決を分析し、「高度の秘匿性のあるプライバシーが問題となる事案において、自己情報コントロール権が肯定され、意見審査基準としても厳格度の高いものが選択される可能性を判例は留保している」とする見解につき、大島義則『憲法の地図 条文と判例から学ぶ』(2016年)法律文化社、7頁。)
ただし、読みやすさも本書の利点です。注釈が必要だと思う反面、そんなものをつけたら分厚くなっちゃうし…う〜ん…。
いずれにせよ、一度手に取ってみるべき書籍かと思われます。各論点の整理が参考になるため、副読本として参照するのもアリ。私はそのように用いております。
続きを読む 閉じる
受験生の実態に沿った本
憲法は実体験としても、理想とされる答案の水準と、実際合格をする受験生の水準に大きな乖離がある科目であると思います。憲法は判例の射程を緻密に検討し解答させる問題が多く出ますが、試験委員の設定した問題意識に正面から答えられる受験生はあまり多くないのが現実です。そこでこの本は学問的な正確性や高度なことを教える前に、まず司法試験受験生として抑えておくべき憲法の答案の型、処理手順を丁寧割わかりやすく解説してくれています。憲法が苦手な受験生、憲法の勉強をして基本書を読んではみたもののどのように答案を書いていいかわからないという方は是非使ってみてほしい一冊です。
(2019年予備試験合格者)
続きを読む 閉じる
補訂前の本書を持ってる人は買い替え必須
人権毎の処理手順をまとめるのに最適です。
補訂によって慶應の某教授のエッセンスが入っている箇所が多々見受けられるのでめちゃくちゃ分かりやすくなってますし、そういう意味で憲法判例の射程と相性がいいと思います。
まとめ本なのでこれだけで乗り切るのは無理ですが、基本書や憲法判例の射程などを併用してこの本に書き込んでいくのが良いのではないでしょうか。
続きを読む 閉じる