事例でわかる伝聞法則の書評・口コミ 4.00 1 刑事訴訟法 事例でわかる伝聞法則 <第2版> created by Rinker 弘文堂 >>>Amazonで口コミを確認する Amazon 楽天市場 Yahooショッピング 参考書 Post Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it 総合得点 4.00 1 おすすめ度 4.00 使用期間(クチコミ投稿の注意点をご確認ください) - レビュー 1 伝聞の苦手克服は実は簡単 伝聞法則に特化した参考書。 著者は弁護士であり,実はこれが本書の最大の特徴。 受験生が伝聞法則につまづく最大の理由は,私見では,立証構造が把握できていないために,供述の内容の真実性が問題となっているか否かの判別ができないことにある。 本書は弁護士,つまり法廷で検察官の立証構造を吟味する立場にある者による本であり,大げさにいえば,立証構造を把握できるようになるメソッドを知り尽くしている者といえる。 本書はまず,「基本書を見てみても,実際の裁判で具体的にどういう供述が伝聞になり,あるいは非伝聞になるのかといった具体的なことは今ひとつわからない」「学生にこの壁を越えてもらうには,とくかく擬似的にでも法廷における実務体験をしてもらうしかない」(はしがきⅱ頁)と問題提起する。そして,その解決のために,「いわゆる論点を含まない事例も多く検討し」「実務感覚を擬似的に体験できるよう,事例問題を中心に極力具体的な記述を心がけ」ている(同ⅲ頁)。 確かに,手続法の学習のポイントは論点を含まない,平常時の手続の把握にあり,論点という,いわば法廷における限界事例のみを学習すると,かえって全体像の理解が遅れることになる。 本書は,立証構造を把握するためにシンプルな事例問題を繰り返す本であり(「伝聞ノック」(同ⅱ頁)),これにより,司法試験において出題された事例が,どのパターンの立証構造の理解を問うているのかの判別が容易になる。本書の第4章までをこなせば,司法試験で聞かれている伝聞法則が,弁護士等の実務家にとってはあたりまえの,単純で基本的なことであることが理解できるようになる。本書の5章は司法試験問題(H20ないし23,25,27ないし30,R3)の解説である。 なお本書の事例の解説の中には,極めてシンプルなものもあるが,事例問題を最初から検討していけば,どういう理由でその結論が導かれたのかの理解に困ることはない。 本書は「理論的な解説は最低限にとどめ」ている(同ⅲ頁)ことから,伝聞証拠の定義については後藤昭著「伝聞法則に強くなる」等の書籍を参照することも考えられるが,本書と用いている単語の意味に違いがありうるので,注意されたい。本書のみで伝聞証拠の定義を学ぶことには慎重であるべきである。 続きを読む 閉じる a_f 4.00 2024.12.11 このクチコミは参考になりましたか? はい 1 クチコミを書く 事例でわかる伝聞法則の書評・口コミ返信をキャンセルする。 ニックネーム必須 おすすめ度必須 星の数をお選びください 使用期間(クチコミ投稿の注意点をご確認ください)必須 星の数をお選びください クチコミのタイトル必須 クチコミ内容必須 クチコミ投稿の注意点 ◆書籍の評価について◆ 「法書ログ」では、法律書籍を選ぶ際の参考になるように、以下の2つの評価項目を設けています。 1. おすすめ度 実際に使用した感想に基づいて、書籍をどれだけおすすめできるかを評価したものです。 評価は★1~5の5段階で表され、星の数が多いほど高評価になります。 2. 使用期間 どれくらいの期間、その書籍を実際に使い続けているかを評価したものです。 書籍が長期間にわたって使用されているほど、実用性や価値が高いという考えに基づいています。 以下の基準で評価を行ってください。 ・半年未満 ★3 ・1年未満 ★4 ・1年以上 ★5
レビュー
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伝聞の苦手克服は実は簡単
伝聞法則に特化した参考書。
著者は弁護士であり,実はこれが本書の最大の特徴。
受験生が伝聞法則につまづく最大の理由は,私見では,立証構造が把握できていないために,供述の内容の真実性が問題となっているか否かの判別ができないことにある。
本書は弁護士,つまり法廷で検察官の立証構造を吟味する立場にある者による本であり,大げさにいえば,立証構造を把握できるようになるメソッドを知り尽くしている者といえる。
本書はまず,「基本書を見てみても,実際の裁判で具体的にどういう供述が伝聞になり,あるいは非伝聞になるのかといった具体的なことは今ひとつわからない」「学生にこの壁を越えてもらうには,とくかく擬似的にでも法廷における実務体験をしてもらうしかない」(はしがきⅱ頁)と問題提起する。そして,その解決のために,「いわゆる論点を含まない事例も多く検討し」「実務感覚を擬似的に体験できるよう,事例問題を中心に極力具体的な記述を心がけ」ている(同ⅲ頁)。
確かに,手続法の学習のポイントは論点を含まない,平常時の手続の把握にあり,論点という,いわば法廷における限界事例のみを学習すると,かえって全体像の理解が遅れることになる。
本書は,立証構造を把握するためにシンプルな事例問題を繰り返す本であり(「伝聞ノック」(同ⅱ頁)),これにより,司法試験において出題された事例が,どのパターンの立証構造の理解を問うているのかの判別が容易になる。本書の第4章までをこなせば,司法試験で聞かれている伝聞法則が,弁護士等の実務家にとってはあたりまえの,単純で基本的なことであることが理解できるようになる。本書の5章は司法試験問題(H20ないし23,25,27ないし30,R3)の解説である。
なお本書の事例の解説の中には,極めてシンプルなものもあるが,事例問題を最初から検討していけば,どういう理由でその結論が導かれたのかの理解に困ることはない。
本書は「理論的な解説は最低限にとどめ」ている(同ⅲ頁)ことから,伝聞証拠の定義については後藤昭著「伝聞法則に強くなる」等の書籍を参照することも考えられるが,本書と用いている単語の意味に違いがありうるので,注意されたい。本書のみで伝聞証拠の定義を学ぶことには慎重であるべきである。
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