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憲法( 芦部信喜)の書評・口コミ4
芦部ブランド
憲法学的に良著と言われているのだろう。
しかし、この本では点が取れない。短答にしろ、論文にしろ。
初学者にわかりやすいかと言われると、読み進めるのに苦労はしないが、
では何か基本が身につくかと言われれば、難しい。
羅針盤的役割は可能で、判例集や問題をこなし、常にここに戻るという使い方も考えられるけれど、
あまりに網羅範囲が少なく、実践的ではないように私は思う。
憲法学的に使えることと、試験で実践的に役に立つことがかなり違うと思わせる本だと個人的には感じてきた。かつての芦部ほどの基準力があるわけでもないし。続きを読む 閉じる
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一歩先への憲法入門1
学者の先生による最適な入門書
基本的な部分が簡潔にわかりやすくまとめられており、本書を読めば憲法についての知識はそれなりにつくであろう。
本書は、佐藤先生の日本国憲法論を読めるようになることが目的として書かれたらしい。日本国憲法論を買ってみたものの読めない方は、ぜひ本書を読んでから日本国憲法論を読んでみてほしい。続きを読む 閉じる
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憲法判例百選Ⅰの書評・口コミ2
判例集の定番!
判例集として定番の一冊です。重要判例が網羅されており、事実の概要、判旨、解説で構成されています。なかでも判旨がわかりやすくまとめられているため、法律初学者でも比較的読みすいと思います。司法試験対策であれば、必要に応じて基本書などを用いて補うと良いでしょう。行政書士試験であれば、判例百選を熟読することで得点源につながります。
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憲法判例百選Ⅰの書評・口コミ2
うまく使えれば
予備試験対策について、憲法判例については百選ⅠⅡ掲載判例を理解していれば足りるとは思います。しかし、百選は判例の解説者によって当たり外れが大きく、論文試験にそのまま使いえるような解説もあれば、結局判例批判しただけじゃん、というようなものもあります。また、難しい学説に立ち入った記述が多いこと、字も小さいことから、内容的・物理的に読みやすいとはいえません。
なので、そのことを覚悟したうえで読むやる気があるならおすすめではあります。続きを読む 閉じる
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憲法論点教室の書評・口コミ2
「書く」ための論点解説。
憲法の条文は簡素です。なんのヒントにもならないので、解釈論を理解せざるを得ませんが、これがまた難解だったりします。調べて調べて、どうにかこうにか理解したかと思いきや、答案にどう活かしたらいいのか分からない。
私自身、この負の連鎖に悩まされていました。
それを解決してくれるのが、本書です。
各論考が分かりやすいことは勿論、本書の大きな特徴は「書く」ことを意識して執筆されていることです。即ち、各論点を「答案に活かせる形で」理解させてくれるのです。特に、「3 審査基準論と三段階審査」「6 適用審査と適用違憲」「22 法律と条例の関係」は、答案の概要が(朧げながら)見えてくる論考でした。
もちろん、「副読本」の位置づけですので、本書一冊で憲法の学習が完結するような書籍ではありません。ある程度の学説の理解は前提となっていますし、判例の事案の概要についても前提知識とされている論考がほとんどです。ご愛用の基本書と共に、論文問題を解く過程で用いるべき書籍であるように思われます。
司法試験受験生続きを読む 閉じる
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憲法論点教室の書評・口コミ2
痒い所に手が届くようになった良書
初版の時点で十分有益な本であったが、第2版はより受験生にとって使いやすいものとなった。
違憲審査基準論の当てはめ方や政教分離が問題となった場合の考え方など、実際に答案を作成する段階で多くの学生が立ち止まるであろう部分について一歩踏み込んだ記載が追加されている。
初版は単に論点の深堀本という印象であったが、2版は答案作成という面でも『憲法判例の射程』や『憲法上の権利の作法』と並ぶ良本となった。
また、依然として個別論点の解説書としても高レベルな解説が並び、執筆者間の差もほとんど見られない。
法学部四年生続きを読む 閉じる
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立憲主義と日本国憲法の書評・口コミ1
コテコテの学者本...と思いきゃ司法試験にも意外に有用
著者は芦部先生の弟子で、芦部憲法の補訂も手掛けている研究者。
重厚なハードカバーからは難解な研究書のイメージを抱かれがちだが、内容は極めて論旨明快でわかりやすい。芦部憲法の「行間を読む」ことが難しいと感じる受験生は本書の方が良いかもしれない。
実際に辰巳のとある人気講師は憲法の受験対策として過去問以外に本書(特に統治の部分)を読むことを薦めていた。続きを読む 閉じる
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合格思考憲法の口コミ・書評5
憲法答案の型が身に付く
司法試験上位合格者が執筆した憲法答案の型が身に付く一冊。憲法の事例問題を解き始める前に、まずは本書で憲法答案の書き方を習得すると良いでしょう。本書には、旧司法試験の問題も掲載されているので、アウトプットも可能です。さらに、答案例付き。受験生の味方。
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合格思考憲法の口コミ・書評5
分かりやすい。使える。でも…
「書き方がわからん!!」となりがちな憲法にあって、本書は大変貴重です。
人権各論の部分では、各権利類型ごとに条文・定義・保障根拠・保護範囲を明記した上で、関連する判例を紹介。旧司法試験や予備試験などによって、問題演習までさせてくれます。答案の書き方が見えてくる良書であることに疑いはありません。しかも、合格者による補訂がなされたばっかり!最新の傾向も反映されていましょう。
一方、記述には注釈が必要な部分もあるかと思われます。
例えば、「判例上の『私生活上の自由』に自己情報コントロール権は含まれない。あくまでも、“〜されない自由”としての保障にとどまる。自己情報コントロール権として論証する場合は、判例との差があることについて積極的な理由づけが必要となる。」(27頁)とされていますが、「判例との差」とまで言い切れるかは疑問です。「誤り」などでは無いかと思いますが、他の文献と見比べることで視野が広がるのは間違いありません。
(判例上自己情報コントロール権が事実上認められているとする見解につき、佐藤幸治『日本国憲法論(第2版)』(2020年)成文堂、205頁。自己情報コントロール権としてプライバシー権を再構成することが判例に整合的であるとする見解につき、新井誠他『憲法Ⅱ 人権』(2016年)日本評論社、51頁。外国人指紋押捺事件・住基ネット事件の両判決を分析し、「高度の秘匿性のあるプライバシーが問題となる事案において、自己情報コントロール権が肯定され、意見審査基準としても厳格度の高いものが選択される可能性を判例は留保している」とする見解につき、大島義則『憲法の地図 条文と判例から学ぶ』(2016年)法律文化社、7頁。)
ただし、読みやすさも本書の利点です。注釈が必要だと思う反面、そんなものをつけたら分厚くなっちゃうし…う〜ん…。
いずれにせよ、一度手に取ってみるべき書籍かと思われます。各論点の整理が参考になるため、副読本として参照するのもアリ。私はそのように用いております。続きを読む 閉じる
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合格思考憲法の口コミ・書評5
受験生の実態に沿った本
憲法は実体験としても、理想とされる答案の水準と、実際合格をする受験生の水準に大きな乖離がある科目であると思います。憲法は判例の射程を緻密に検討し解答させる問題が多く出ますが、試験委員の設定した問題意識に正面から答えられる受験生はあまり多くないのが現実です。そこでこの本は学問的な正確性や高度なことを教える前に、まず司法試験受験生として抑えておくべき憲法の答案の型、処理手順を丁寧割わかりやすく解説してくれています。憲法が苦手な受験生、憲法の勉強をして基本書を読んではみたもののどのように答案を書いていいかわからないという方は是非使ってみてほしい一冊です。
(2019年予備試験合格者)続きを読む 閉じる
法律書籍の口コミ・書評一覧